おてらいふの一言:名利共休(みょうりともにきゅうす) | おてらいふ WWW.OTELIFE.COM | お寺のある生活を、もっと身近に

一言:名利共休
    (みょうりともにきゅうす)

意味:名誉も、お金も、追い求めない

あの有名な茶人『千利休(※1)』の名前の由来とも言われる『名利共休』。

「名誉やお金を追い求めないで生きる」

という意味を持っています。

織田信長と豊臣秀吉という2人の天下人に仕えていた利休は、己を狂わすような欲望を遠ざける意味でこの文字を名前に含めたとか。

・金欲
・名誉欲
・性欲
・食欲
・睡眠欲

多かれ少なかれ、誰もがこれらの欲望と戦ったご経験をお持ちでしょう。

私達には常に無数の欲望が混在しています。

多くの方は「名誉もお金も求めないで生きるなんて無理」と思ってしまうのが本音ではないでしょうか。

確かに、欲望は毒になる反面、人間の進化には欠かせない一面もあります。
欲望をコントロールしてモチベーションに繋げ、高い成果を上げて成功している人も多くいます。

一方で、金欲や名誉欲は、人間の恐ろしい一面を引き出す負の力が強く、酷い事件は日々後を絶ちません。

では逆に、欲望の無い人間は強いのでしょうか?


かつて西郷隆盛は、江戸無血開城(※2)の功労者である山岡鉄舟(※3)を以下のように評しています。

「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ男は始末に困る。しかし、そのような男でなければ天下の偉業は成し遂げられない」

山岡の生き様に感銘を受けた西郷は、それ以来、自らも無欲な姿勢で生きるように努力したとされています。

誠実な日常生活を通じ、社会的な使命を達成していく人の心は強く、揺らぐ事はありません。

一方、欲望をモチベーションに変えて動いている人は、いずれエネルギーが尽きる上、損得勘定ばかりして動いてしまいがちです。

どちらが正しいとも言えませんが、「欲望に負けてはならない」のは共通していますね。

今も昔も実践するのが難しい『名利共休』。

まずは心の隅に置いておいてみてはいかがでしょう。

欲望に支配されそうな時、きっとあなたを我に返らせてくれるはずです。


※1:千利休(せんのりきゅう)
大永2年(1522)~天正19年(1591)。千家流茶道の開祖。
茶頭として織田信長に雇われ、のち豊臣秀吉に仕えるが、天正19年2月28日、秀吉の命令で切腹。
千家ではその1ヶ月後を命日としているが、「1月後」の解釈が表千家と裏千家で異なり、表千家では3月27日、裏千家では3月28日に「利休忌」を行い、追善の茶会が催されている。
※2:江戸無血開城(えどむけつかいじょう)
1868年、官軍の攻撃に対し、江戸城を無血で明け渡した一件のこと。
同年2月、新政府は、江戸に逃れた徳川慶喜を朝敵とみなし、征討軍を派遣、江戸城への総攻撃の為に進軍。
慶喜は、上野寛永寺に謹慎し、従う意志を示したものの、征討軍は、江戸城への総攻撃を3月15日と決定。
一触即発の中、山岡鉄舟の前準備のもと、旧幕府陸軍総裁の勝海舟と大総督府参謀の西郷隆盛が談判、江戸城の無血開城が決まった。
※3:山岡鉄舟(やまおか てっしゅう)
天保7年(1836)~明治21年(1888)。剣・禅・書の達人。
1968年の江戸城総攻撃の際、西郷隆盛と辛抱強く交渉準備を重ね、江戸無血開城に多大な貢献をした。
明治維新後、明治天皇の教育係として十年間仕え、日本の近代化に多くの影響を与えた。