頑張れ、お坊さん!東京ボーズコレクション【2007】

◆過去にとらわれず、現在をいかによくするか◆

築地本願寺

2007年12月15日土曜日
東京都中央区の浄土真宗本願寺派(西本願寺)東京別院である築地本願寺にて、仏教主要7宗派・8団体(天台宗 / 真言宗 / 浄土宗 / 浄土真宗 / 真宗大谷派 / 曹洞宗 / 臨済宗 / 日蓮宗各派)の僧侶達による共同企画イベント「虹を翔るお坊さん 2007東京ボーズコレクション」が開催されました。
おてらいふ運営事務局スタッフも報道関係者として、多くのイベント取材を通して勉強させて頂きました。
取材にご協力頂いた方々には心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。

イベントには、寺院関係者だけでなく、若者カップルから子供やお年寄り、外国人まで、幅広い年齢層、人種の方々が訪れていました。
誰でも無料で気楽に参加できることもあり、来場者数はなんと1日で約1万5,000人(実行委員会調べ)にも上ったそうです。

歴史的ライブ

本堂の特設ステージは、この歴史的ライブを一目見ようと開演時間前から、多くの人が場所取りをしていました。

まず、僧侶とラッパー、ダンサーがコラボレーションし、芥川龍之介著の「杜子春(とししゅん)」をベースに法話などを披露する「プンダリーカ・ライブ」は圧巻の一言、集まった人達からは度々大きな拍手が沸き起こりました。
「仏教的な要素を多く含む『杜子春』に対してラップやダンサーが何をできるんだ?」と半信半疑の方もいたのではないでしょうか。
しかし、内容は非常に丁寧で、お経の一説を理解しやすく現代語に訳しており、ダンスなどのボディランゲージも取り入れる事で、驚くほど一般の人にわかりやすい芸術的な仕上がりとなっていました。

虹をかけるお坊さん

また、初の試みとなる「東京ボーズコレクション法要」では、ファッションショーさながらの雰囲気の中、各宗派より尼僧を含む36人の僧侶が、赤、緑、黄と色とりどりの衣や袈裟(けさ)をまとい、舞台へ登場して声明(しょうみょう)を披露しました。
荘厳な築地本願寺本堂内に響き渡るパイプオルガンの音色、この過去に例を見ない贅沢な空間に無料でいられるのですから、人が集まらないわけがありません。
最後は各宗派の僧侶全員が舞台に揃うと、ハスの花びらを模した「散華」(さんげ)を播き、この新イベントを見事に締めくくりました。
色合いの違う袈裟をまとった宗派の異なる僧侶達が手を取り、世界平和を祈願するその姿はまさに「虹を翔るお坊さん」を体現する素晴らしいものでした。

他にも、プチ修行や佛教相談、ロハス・マーケット、僧侶向けワークショップ「10年後のお寺をデザインしよう」、「これからの仏教を考える」など数々の参加型のイベントは、多くの人々の関心を惹いていました。

カフェ・ド・シンラン

境内駐車場の親鸞聖人像横に併設されたカフェ「カフェ・ド・シンラン」は、落ち着ける雰囲気の中、歩き疲れたお年寄りから若いカップルまで、多くの人がくつろいでいました。
夕方からはカフェメニューのほかライトアップされた本堂を眺めつつお酒を飲み、築地市場の旬の魚などを使った料理が楽しめるこのカフェ、健康で環境に配慮したライフスタイル「ロハス」を提唱する月刊誌「ソトコト」編集部が企画・運営しているそうです。
(営業は午前11時半から午後11時まで。日曜祝日は休み) http://www.sotokoto.net/lohasbar/

さて、初企画にもかかわらず、「東京ボーズコレクション」がこれほど人々の興味関心を惹いて、大成功を収めた要因は何だったのでしょうか。
同実行委員長の松原功人さんは、『縁起プロジェクト』の目的を各メディアに向けて以下のように語っています。

「全ては繋がっている。宗派や僧俗を超え、苦しみや悩みを超えてゆく道を求め、共に繋がって生きること、相手を思いやり、皆さんが幸せになるよう、また世界が平和になるよう共に歩んでいきたい。」

この意気込み通り、企画の内容一つ一つに丁寧かつ心がこもっており、お坊さんや寺院関係者、スタッフが一体となっていた印象を受けました。
また、イベントの何より大きな意義の一つは「宗派の垣根を越えた初の試み」という部分とお考えになる方は多いのではないでしょうか。
「東京ボーズコレクション」という初企画を聞いて「うさんくさいなぁ・・・、関わりたくないなぁ」と及び腰となっていたお坊さんもいらっしゃったと思います。
しかし、「お寺離れ」が深刻な現代社会において、そもそも「仏教」自体に人々が興味を持たなければ、その「宗派」まで辿り着く以前の話となってしまう事だけは間違いありません。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」

鴨長明が「方丈記」で伝えているように、世の中に不変なものはありません。
少し発想を変えてみて、「より良くなる為の変化」を試してみるのも伝統を守る手段の一つだと思います。
お寺における「変化」は、「伝統を変えるものではなく、むしろ、それを守りながら強める」だと思うのです。
宗派を超え素晴らしい企画が成功した裏には、やはり「お寺と一般の人々の在り方」に危機感を持った僧侶達の並々ならぬ努力があった事が想像できます。

また、松原さんは以下のようにも語っています。

「仏教がクールであり、寺院が葬儀のみの場所ではないことを若者にアピールしたかった。」

確かに、イベント名称が「八宗派合同法要会」など、硬い印象を受けるものだったら、ここまで若者は集まらなかったといえるでしょう。
一般の我々から見ると、この大きなイベントを「東京ボーズコレクション」という年配のご住職方が眉をしかめて反対しそうな名称で企画できた事が驚きでした。
外から見ると世襲制度が厳しいとされる寺院内部ですが、実は若い住職とベテラン住職が意見交換を行なえる良好な場があるのではないかと嬉しく思いました。

また、日蓮宗の互井観章さんは10月29日に行われた記者発表でこう語っています。

「10年前はお寺に泊まる人がいたり、悩みを相談しに来たりといろんな人がお寺に出入りしていたが、最近はお寺に日常的に行くという人が少ない。 苦しい世の中をどう生きるかということを2000年以上考えてきた仏教の教えを眠らせているような気がする。人々をどうしたら幸せにできるか、という各宗派共通の教えを基にそれぞれの特色を生かしていきたい」

やはり「いつの間にか、若い人達がお寺から離れてしまっていた」と感じているお坊さんは少なくないのではないでしょうか。
日本に仏教が伝わってから1200年以上が経過した現在でも、仏教徒は日本人口の約4分の3近くを占めているとされています。
しかし、実際に人々が寺院に足を運ぶ事といえば「法事か葬儀がある時のみ」となってしまったのが事実です。
その葬儀も、先祖の宗派に無関心な若い世代が施主を務めるものが大半となり、信仰から仏式葬儀が選ばれているケースは少なく、単に慣習化しているだけという状態です。
多くの寺院関係者は、この状況を「檀家制度に寄りかかった受け身姿勢での人々との関わり方」などが原因と分析し、人々の心へ、従来と異なるアプローチで仏教の教えを説く必要性があると危機感を強めています。

まさに、その皮切りとなったのが「東京ボーズコレクション」ではないでしょうか。
現代社会において仏教が抱える幾多の困難に対し「伝統文化と現代文化の融合」というアプローチは非常に有効だと思いました。

イベントに携わった大勢のスタッフ、寺院関係者の方々、本当にお疲れ様でした。
今後もこのようなイベントを継続して開催されることを心よりお祈りさせて頂きます。
また、「おてらいふ運営事務局」にお手伝いできることがございましたら是非ご一報頂ければ幸いです。

東京ボーズコレクション


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