お寺へ駆け込んでみよう

◆現代人とお寺◆

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「駆け込み寺」という言葉はご存知でしょうか?
そう、現在でも「困った時に助けてくれる場所」の比喩としてよく使われますよね。

この言葉は江戸時代の「縁切寺」から生まれたと言われます。
当時、結婚した妻にとっての「離婚」は、夫から離縁状が出される場合しか許されていませんでした。
妻から離婚を求める例外手段として、この縁切り寺で3年間を尼として奉公するという方法があったそうです。
離婚の際に記者会見まで開いてしまう現代社会の人々から見ると驚いてしまいますよね。
もちろん縁切り以外でも、救済や謝罪、謹慎、調停など様々な悩みの際に、人々はお寺を頼り、気軽にその門を叩けたと伝えられています。
この場で紹介しきれないほど昔の人々の生活にとって、お寺は欠かせないものだったのです。

「駆け込み寺」とは役割が異なりますが、現在の私達にとって便利で気楽に入れる場所としてコンビニエンスストアが挙げられます。
生活に合わせた色々なニーズに応えてくれる姿勢により、住民達に必須の場所となりました。
現在、国内のコンビニエンスストアの店舗数は、およそ4万件以上とされています。

しかし、驚くことに全国にあるお寺の数は、コンビニエンスストアの総数を上回り、およそ7万件を超えているのです。
この数から、お寺がいかに昔の人々の生活にとって欠かせない身近な存在だったのかがわかります。

ただ残念な事に、人の流れが絶えないコンビニエンスストアとは対照的に、お寺からは人々(特に若い世代)が離れていっています。
お寺の経営難や統廃合の波により、10年後には、その数が半分近くに減ってしまうのではないかと危惧する声も上がっています。
これは単純にお寺の数が減るだけではありません。
同時に、お寺と我々の祖先が一緒になって守ってきた様々な日本文化が消滅していくことへと繋がっていくのです。

例えば、存続が危ぶまれる行事の一つとして「お盆」があります。
かつて家族や一族が集まり、故人を偲び、生きている自分と家族との繋がりを再認識できる機会でした。
現在では、「海外旅行だから」「仕事だから」「面倒くさいから」・・・とお盆に帰郷する人はどんどん減ってきています。
お寺が減り、地域住民の結びつきが薄れると共に、家族が皆で集まり、お墓参りをしたり、成長を確認し合う文化まで失われつつあるのです。

また、一昔前のお寺といえば、子供への字の読み書きをはじめ、仏教を通して社会との向き合い方を説き、地域住民の心の交流を深められる場所でした。
ところが、最近では教えるどころか、インターネットやパソコンをはじめとした人々の生活スタイルの変化から取り残されていると揶揄されています。
お坊さん達も人間ですから、少し意地になって「昔からそうだから、あえてそのままにしている!」と開き直ってはいないでしょうか。
近代化や住民と繋がる為のIT環境の整備に対して、歴史を盾に、何も試みないうちから否定的になってはいないでしょうか。
結果、気軽に出入りできて、地域の人達を結ぶお寺の役割は影を潜めてしまい、「入りにくい」「なんか怖い」と文明社会から隔絶された印象すら根付いてしまっています。

果たして本当に今の姿勢で次世代を担う近隣の若者たちと繋がり、仏教を伝え、忘れられていく大切な日本文化を守っていけるでしょうか。

また、私達一般人は地域のお寺と積極的に関わることによって、近隣のご近所さん達との交流だけでなく、日本という国の礎でもある仏教に触れることができるのです。
これは、仏教を信じる信じない以前に非常に貴重な体験であり、人生の視野を広げ、生活を豊かにしてくれるはずです。

お寺が再び地域の人々にとっての優しい「交差点」になる日を願って、今一度、みんなで勇気を持って小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


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